大判例

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東京地方裁判所 昭和37年(ワ)5744号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔事実と判断〕原告は被告ら共同振出に係る約束手形の所持人として振出人たる被告らにたいし手形金の支払いを求めたところ、被告らは本件手形振出の事実を認めたが、本件手形は訴外中西忠図に割引のあつせんを依頼して受取人、振出日白地のまま、振出したが同人は言を左右にして割引金を持参しないので、被告鈴木はしばしば中西にたいし口頭で本件手形の振出行為を詐欺によるものとして取消し、その返還を求めていた。しかるに中西は右手形を前記の事情を熟知している訴外株式会社丸木商会に裏書し、ついで同会社はこれを原告に裏書譲渡した。前記のように本件手形は鈴木が中西にたいし割引を依頼して預けたにすぎず、同人はさらにこれを割引人を探すため前記丸木商会に預けたものであり、右両名共本件手形の実質上の権利者でない。原告は金融業者であり、本件手形取得に当つては振出人たる被告らにたいし、振出事情につき電話照会する程度のことはこれをなすべき注意義務があるのにこれをしなかつたからこの点において原告に重大な過失があつたというべきで、原告は手形法第一六条第二項但書により本件手形上の権利を行使しえないものであると抗争した。

判決はつぎのとおり被告の抗弁を排斥した。曰く。

「原告が本件手形を取得するに際し、振出人たる被告等に対しその振出事情を照会する措置をとらなかつたとしても、原告が、そのような措置をとるべき任意義務を負担すべき特段の事情の認められない本件においては、これをもつて原告に重大な過失があつたものということもできない。」

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